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ご注意:下記コラム内の法律や税制などは執筆当時のもので、現在では変更になっている可能性があります。

保険事業者運営支援

私は主に営業部門で30年間大手損害保険会社に勤めました。その後大手来店型保険ショップに3年間勤務しました。その間に来店型保険ショップや保険会社を中心とした 全国組織である
一般社団法人 保険健全化推進機構 結心会と太いパイプができ、九州事務局も務めています。
今でも日々最新の保険業界の情報を集める活動を行っています。
以上のような経験と知識によって保険代理店の皆様を支援していきたいと考えています。

(1)最低ここまではやっておきましょう!
大規模でない保険代理店のコストを抑えた改正保険業法対応試案

2016年5月29日施行予定の改正保険業法への対応は進んでいますか。施行の半年前までに内部規定を完成させ、PDCAサイクルで回し始めないと間に合いません。
あれやこれと考えている時間はありません。
参考になればと考え、下記に大規模でない代理店が最低限、コストをかけないで改正保険業法に対する対応法を試案してみました。
参考になれば幸いです。

1. 既作成の就業規則、コンプライアンス規定、プライバシーポリシー、経営理念等の社内規定を揃える。また、従業員の教育、指導、管理の方法を明文化する。
2. 平成27年2月18日公表の改正保険業法監督指針とそのパブリックコメントを準備する。
3. 今回の改正で保険業法に追加された情報提供義務と意向把握義務を遂行する監督指針に沿った具体的な方法を決めて明文化する。
●「契約概要」と「注意喚起情報」の説明方法
●意向把握方法、例えばアンケートによる方法
●乗合代理店の場合商品比較方法や推奨商品の選択
4.内部監査の実施方法を決めて明文化する。
 内部監査は独立した監査部門が行うことになっているが、一方で代理店の規模による対応も認められている。独立した監査部門設置が難しい場合はコンプライアンス部等と兼務し、 弁護士等の第三者による監査や代表者による監査が考えられるが、コストをかけないというなら代表者による監査しかないと考えられる。ただ、保険会社の定期的な検査を持って 内部監査の一部に充当することはできる。
代表者が金融庁のホームページに公表されている保険検査マニュアルに沿って監査するのである。それにできれば月1万円程度で第三者の専門家と顧問契約等して監査実施後 の監査内容のチェックくらいはしてもらうようにしておいた方が体裁がいいと思われる。
5.1.から4.までの資料を基に内部規定を作成する。法令等遵守規定、保険募集管理規定、顧客情報管理規定、顧客サポート管理規定、外部委託管理規定、内部監査規定の 最低6規定が必要なので、規定ごとに1.から4.の項目を抽出し、振り分け、編集し、整理する。
6.保険募集で配慮していること、独自の募集理念等で明文化していないものや保険会社や協会のマニュアルやガイドライン及び各種雛形の中から内部規定に入れたいものを 追加して体裁を整える。
7.作成した内部規定を基に改正保険業法施行までにPDCAサイクルを2回転させる。

以上は不十分ではあるが、コストをかけられない大規模ではない代理店が改正保険業法施行日が迫って来る中で最低限実行しておくべきことを私の偏見で述べたものです。 また、このやり方なら実行可能ではないかと個人的に考えたにすぎません。
決して金融庁がこの対応を評価して認めることを保証したものではなく、私自身が責任を負うものではありません。 この案を採用するかどうかは自己責任において判断願います。

(2)損保代理店の皆様へ、来店型保険ショップから得られるヒント

私は30年間大手損害保険会社に勤務後退職し、大手来店型保険ショップで働かせていただいていきましたが、入社当時驚いたのは生保がメインの来店型保険ショップで 驚く程の損保の売上があるということでした。
損害保険の営業は訪問紹介型が定番であり、飛び込みによる営業では成果は挙がらないというのが業界では常識になっていました。それが契約者のほとんどが初めは一元客 である来店型保険ショップで、これだけの契約高があることは驚きでした。特に、アンダーライティングを厳格にしなければならない自動車保険を一元客ばかりで成約すれば、逆選択 の契約ばかり集まってくるのではないかという懸念がありました。結果はこの私の既成概念は打ち砕かれました。問題のある自動車保険契約はほとんど皆無でした。
私なりに分析すると個人情報保護という考え方が叫ばれて久しい。昔は親しい間柄になれば職域に無断でずけずけと入ってきて保険営業を行っていました。しかし、 今はそんなことはコンプライアンス上とてもできません。個人宅に対しても押し売りみたいな営業は法に触れます。そんな中で自分に対して保険募集を誰も行わず、保険に関する 相談をどこで誰にしたらいいか分からず、困っている人が多く存在するということではないでしょうか。
損保代理店は車で10分以内、約3キロ以内の営業が基本だとも言われています。そんな中でそこから漏れる人々が多いとも言えるのではないでしょうか。
損害保険業界の人間は私と同じような昔ながらの考え方を引きずっている人がほとんどではないでしょうか。
来店型保険ショップは生命保険だけでなく、損害保険の新規が多く取れるシステムであるということに私は気付きました。
以上は私の偏見かもしれません。よって違った見方、考え方があるのは当然です。ただ、皆様に来店型保険ショップについて興味を持っていただき、知っていただき、今後の 代理店経営になんらかのヒントを得ていただきたいと思います。皆様の今後の営業展開の一助になることを切に願っております。さらに、私にご相談いただければ来店型保険 ショップから得た多くの営業推進のヒントをご提供することができます。
お気軽にご連絡ください。

(3)損保代理店でなぜ生保が売れないのか

平成8年の生損保併売ができるようになって以来、私は生保営業と言えば代理店に対してただひたすらに損保の既契約者から生保の契約を取って下さい、 とばかり言い続けていました。他の営業社員も似たり寄ったりだと思われます。そう言い続けて20年、損保既契約者からの生保獲得率はせいぜい5%程度で一向に上昇する 気配はありませんでした。
それではなぜ既契約者から生保契約が獲得できないか、理由も分からず、よって打開策も示すことができなくて営業社員が指導してきたからに他なりません。 このことに対する分析と打開策についてはRML株式会社の清水英孝氏が見事に解明しておられる文章を読んだことがあります。 その中で述べてありますが、生保販売で成功するにはやはりFP的スキルの獲得が必須です。そのスキルを使って顧客にサプライズの感情を起こさせるのです。 今ではごく稀にではありますが、損保既契約者からの生保獲得率が50%を超えている専業代理店の方がおられます。私はそんな専業代理店を担当したことが ありますが、その方はAFP資格を持ち、FP的スキルも持ち、生保営業の時間を捻出するのに自動車保険の保険期間をあえて1年から3年に転換する等の工夫を されていました。
生保の売上を伸ばすには従来の損保営業手法とも国内外生保会社の販売手法とも違う損保系生保会社の独自の販売手法で生保販売を推進する必要があります。
興味を持たれた保険代理店の方はお気軽にお問い合わせください。

(4)集客という発想を持っていますか?

保険を販売する手段として「集客」ということを考えておられますか。
来店型保険ショップの方は当然日頃から考えておられると思いますが、特に損保代理店の方は「集客」という言葉には馴染みがないのではないでしょうか。
私も損保会社出身なのでよく分かりますが、不特定多数の相手に営業をするというのはアンダーライティング的に問題があるし、 効果はないという既成概念が強いのではないでしょうか。
この点については前章(2)の「来店型保険ショップから得られるヒント」で述べましたが、今では私はその認識は誤っていると考えています。
まずは費用のかからない事務所付近でのポスティングから始めてみませんか。
まずはパソコンでチラシを作成します。
「あなたの近所に損保の専業代理店の事務所があります。
従業員は○○名で業界トップの資格を持っています。
保険のことならいつでもご相談に乗ります。
自動車保険の見積はすぐにその場でお出しします。
歓迎します。いつでもお気軽にお寄りください。」と、いうような主旨の親しみのあるチラシを作成して事務所のコピー機で100枚か200枚程度コピーして 近所にポスティングします。
ポスティングは無計画になおざりに行うにではなく、例えばこの地域の戸建等と決めて配るときには心をこめて丁寧に行い、ポスティング先を観察し、 表に出ている人がいたら、これ幸いに話しかけ、チラシの説明を行い、事務所に来てもらうように誘いましましょう。
その次には実際チラシを見て来店されたお客様を迎える準備も重要です。
知らない人が突然事務所の扉を開けたときに怪訝な顔をして見られるとせっかく自動車保険の相談に来られたお客様がすぐに出ていってしまいます。 さらに悪いことになるとその評判が近所に広がり、いくら宣伝しても誰も来なくなるかもしれません。
従業員の方にはそんなときには笑顔で出迎え、率先して用件を聞くように徹底しておかなければなりません。
また、お客様が落ち着いて相談できる応接室やブース等のスペースがなければ、その確保もしておかなければなりません。
お客様を歓迎する体制ができた上でポスティングしなければなりません。
チラシを100枚か200枚配ったくらいでは恐らくすぐには効果が表れないでしょう。
ただ、運よく今までの代理店の対応が悪く、自動車の更新について近くの来店型保険ショップに相談しようと考えていたお客様が来られるかもしれません。 また、チラシを配って半年後に自動車保険の更新時にチラシのことを思い出す人もおられるかもしれません。
行動してみなければ分かりません。
ここで重要なのは結果よりも集客という行動を始めるきっかけとなることと従業員全員が初対面のお客様に対する接客という意識を持ち、 事務所内にもそのスペースを確保するという体制づくりです。
この体制づくりができればあとはポスティングの件数を増やすとか新聞広告をする等に発展させていくことができます。
そんな中で結果が出てくれば集客が楽しくなって、イベントを開催する等、集客の方法もランクアップしていけばいいのです。
私が提案したいのは前章(2)で提案した「来店型保険ショップから得られるヒント」で述べたように来店型保険ショップの「集客」というシステムを営業推進の 手段として取り入れてみませんか、ということです。
上記で述べたポスティングくらいならそれ程コストもかけずにトライできると思います。
考えるよりも、とりあえず行動に移されることをお勧めします。

(5)改正保険業法の比較推奨規制について

改正保険業法の比較推奨規制について理解できていますか。
この規制の対象は乗合代理店ですが、この規制は「お客様の意向把握をしてその意向に沿った販売できる複数の商品を比較説明して、 お客様に選択してもらわなければならない」という規制だと思っていませんか。
この認識は半分正しいですが、正確な理解ではありません。
顧客の意向は確認しなければなりませんが、「顧客の意向に沿った保険契約の選別」をするかどうかは代理店または保険募集人が選択しなければならないのです。
必ず「顧客の意向に沿った保険契約の選別」をしなければならない、ということではないのです。
この部分の根拠法は改正法294T、新規則227の2VCロ、ハです。
「顧客の意向に沿った保険契約の選別」をする場合の規制が「ロ」で、しない場合の規制が「ハ」です。
「顧客の意向に沿った保険契約の選別」をする「ロ」の規制では、顧客の意向に沿った比較可能な保険契約の概要と提案の理由を説明しなければなりません。
「顧客の意向に沿った保険契約の選別」をしない「ハ」の規制では顧客の意向に沿った比較可能な保険契約の概要の説明は必要なく、提案の理由を説明しなければなりません。
「ハ」の場合、提案の理由は当然「顧客の意向」ではない理由になるはずです。例えば特定の保険会社との資本関係や経営方針等の保険募集人側の都合による理由です。
それで、「当社では手数料率が一番高い商品を勧める方針ですのでこの商品をご提案します」でも、規制違反ではないと言われています。
ただ、この場合、顧客がすんなりと納得して受け入れてくれるのかは甚だ疑問です。中には怒り出す顧客もいるかもしれません。
そこで、ここでは「お客様にとって一番ふさわしい商品をご提案します。」と、うそを言ったら規制違反になります。
どのような商品選別方法にするか、苦慮するところです。
堂々と「我々はお客様のために保険を販売していません」と、宣言しなさい、してもいいです、ということです。
今まで保険ショップへ訪れる顧客は自分のために最適な保険商品を選んでくれると期待していました。しかし、その期待が裏切られることも多く、 それがトラブルの原因にもなっていました。
これからは顧客に対して甘いことは言わずに正直に自分達、募集人の立場を表明し、顧客にお互いの立ち位置を認識してもらった上でプロとしての対応をしていきなさい、 ということです。
適当なごまかしは通用しません。
この点を理解せずにあやふやな対応を続けていけば、顧客側からか保険会社側からか、または金融庁側からか痛い目にあう可能性があります。
代理店内で徹底的に協議してしっかりと対応していきましょう。

(6)ほけんの窓口グループ窪田会長兼社長の講演を聴いて

11月20日に福岡県損害保険代理業協会の三支部合同セミナーが開催され、そこでほけんの窓口グループ代表取締役会長兼社長の窪田泰彦氏が講演されました。
私は協会の会員ではありませんでしたが、会員以外でも参加可能でもあり、是非とも聴きたい講演でしたので参加させていただきました。 講演内容は改正保険業法にしっかりと取り組み、この危機をチャンスとしてさらに発展していこうという経営手法を披露していただき、期待以上に興味深いものでした。
講演の中ではほけんの窓口グループの現状の指標が公開されましたが、参考となるものを一部抜粋してみます。
損保収保、2009年度 4,521百万、2010年度 6,539百万、2011年度 11,692百万、2012年度 17,143百万、 2013年度 22,159百万、2014年度 24,777百万、と私の予想を超えた驚異的な増収額です。
また、窪田氏によると、ほけんの窓口では1店舗当たり平均で月8台から9台の自動車保険の新規があり、損害率は45から47%程度だそうである。
以上のデータは前述した「(2)損保代理店の皆様へ、来店型保険ショップから得られるヒント」の内容を裏付けるものです。
そして、もう一つ注目したデータは相談者の年代別状況では20代、30代が56%を占め、既契約者の20代、30代の占める割合も大きいそうです。 今後収益が期待できる年代層が多いというのは企業の将来性も期待できるということです。 また、来店した9割が損害保険についても相談していくそうです。損保代理店との関係が薄い人がそれだけいるということです。
損保に関して高いスキルを持った専業損保代理店は来店型保険ショップのノウハウを柔軟に取り入れることが増収につながるのではないでしょうか。

(7)意向把握に必要な保険周辺情報提供サービスについて

今回の改正保険業法における「意向把握」とは商品の設計をする前の段階で保険に限定せずに相談者の悩みやニーズを把握することです。
その悩みを解決したり、ニーズを満足させる最善の方法が保険であることが判明して初めて保険設計に入れるのです。
そこにたどり着くまでには保険の周辺情報を相談者に提供しなければ相談者は最善の方法を選択できません。
例えば死亡リスクを軽減したい要望に対しては遺族年金等の公的補償制度や保険と貯蓄で備える場合の比較等を説明する必要があるでしょう。
病気リスクに対しては健康保険制度、高額療養費制度、貯蓄で備えるという方法等の説明、介護リスクに対しては介護制度等の説明が必要です。
そんな意向把握に必要な保険周辺情報と保険拡販に役立つ保険周辺情報を月々3,000円で提供致します 。
年金制度、税制、介護制度、健康保険等の制度は頻繁に改正されます。その変化に付いていかないとお客様に誤った情報を提供してしまいます。そんなことがないように制度変更の情報は随時提供していきます。
その他に別途 社員の方への保険周辺知識を身に付ける研修等も行います。
意向把握の高いスキルを身に付けることによって他の代理店との差別化ができ、増収につなげるチャンスですので是非ご検討ください。

(8)販売している保険商品のセールスポイントを言えますか?

来年5月の改正保険業法に施行に向けて準備をされていると思いますが、自分は専属代理店なので乗合代理店のように複数の保険会社の商品を比較、 推奨しなくていいので楽だと考えておられませんか。
確かに楽かもしれませんが、消費者の立場からすると品揃えの多い中から選べる方が納得感があるのは否定できません。 そして、専属代理店はそんな乗合代理店と競争していかなければなりません。
そんなことを言われても保険会社が乗合を許してくれないという代理店の方も多いかと思います。そうしたら、どうしたらいいのでしょうか。
それは他社比較した場合の自社商品のセールスポイントを顧客に説明することです。
もちろん嘘やいい加減なことを言ってはいけません。
情報を収集して、勉強して、データ化して代理店全体で共有し、実際顧客に説明する態勢づくりをしなければなりません。
では、まず、情報収集はどのようにしたらいいのでしょうか。
インターネットで各社の商品概要情報を集め内容を比較検討する、各社の支店や代理店を回ってパンフレットを集める、等の方法もあるでしょう。 しかし、これでは多くの時間と労力が必要です。
そこで、手っ取り早くインターネットの比較サイトや市販の保険商品比較本で情報収集することです。
保険商品をランキングした本は本屋に行けばいつも別冊や特集で書かれたものが必ず見られます。 陳列台に保険に関する本が入れ替わり必ず並んでいるのを見るたびに世間は保険に関心を持っていることを痛感します。
これらの本を見られたことがありますか。私は中を確認して結構買っています。それは商品内容を知ることよりは消費者目線を知る資料として購入しています。
それらの本の多くが保険商品をランキングしてその理由書いています。中には偏見による理由もありますが、 いろいろな本を比較することによってその理由の妥当性を知ることができます。また、多くの消費者がこれらの本を参考にしているでしょうから 今後の消費者目線も推測することができます。
まずはこれらの本から情報収集して販売商品のセールスポイントを捜してはいかがでしょうか。
専属代理店は損保代理店が多く、生保も2、3社しか扱ってないところが多いでしょう。
せめて、生保は多くの会社の商品を扱いたいという損保代理店の方も多いと思いますが、 保険商品ランキングが掲載された市販の本では損保系生保の商品が意外と評価が高いのをご存じですか。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の収入保障保険の家族のお守りはこの数年間たいていの本でベスト3に入っています。 その理由は優良体割引の保険料が安いうえに5年ごとに保険料が安くなっていくことです。 収入保障保険では要介護状態になったときも保険金が支払われる三井住友あいおい生命の&LIFE総合保障保険も多くの本で上位にランクインしています。 医療保険では元金が戻ってくることで話題となったメディカルKit Rが上位にランクインしています。
これらの商品は分かりやすい特徴を持った商品であり、自信を持って他社商品と比較しても負けないセールスポイントを強調して売れる商品です。
今回の保険業法改正で態勢整備を終えた来店型保険ショップがより品揃えによる販売力をアップしてくるのに対抗して 少数社しか扱わない代理店は違うやり方で顧客を満足させる工夫をしましょう。

(9)気になる保険業界の動き

日本生命保険は平成27年11月27日、乗り合い代理店のライフプラザパートナーズを買収した。同日付でほけんの窓口グループが持つ株式の一部を3億8千万円で買い取り、 子会社にした。出資比率は68.6%。同社は全国35カ所に営業拠点を持ち、約800人の保険募集人を抱えます。
敵愾心を持っていたのではないかと考えられるほけんの窓口グループのライフプラザパートナーズ、 しかも保険会社ではなく代理店をガリバーの日本生命が買収するとはどういうことだろうかと頭をひねりました。
ライフプラザパートナーズに勤める知人に聞いたところ日本生命から出向してきた役員からは今までと何にも変わらないと言われたそうです。
果たしてそうなのでしょうか? 将来的に日本生命の商品を売らせられることはないのでしょうか、 または、あいおいニッセイ同和損保の火災保険や自動車保険の販売推進を課せられないのでしょうか。
日本生命にその気はなくてもあいおいニッセイ同和損保は強力に日本生命働きかけてこないのでしょうか。
これに先んじること5月に全国50店舗を有する中堅保険ショップ「ライフサロン」を買収しています。 7月にはニトリで「ニトリの保険+ライフサロン」を展開することになりました。
また、10月にはNTTドコモと事業提携を発表し、共同で乗合代理店業務を展開するとのことです。
やはり、日生も窓販や代理店のシェア拡大を無視できないのでしょう。また、 来店型ショップの顧客層が20代から30代のシェアが大きいこともこのような動きの要因になっています。
日生はM&Aの準備資金としてまだ1兆円残していると言われています。今後もさらに活発に動き回ることが予想されます。
日生以外でも住友生命はほけん百花 という来店型保険ショップを展開しています。
生保会社だけでなくイオングループがイオン保険ショップを展開するなど異業種からの参入も活発化しています。
これらの動きは生保募集人や代理店だけでなく損保代理店にも大きく影響してくるでしょう。
黙って注視するだけでなく、顧客を奪われないように対抗策を考えましょう。

(10)間口を広げてみませんか?

間口を広げてみませんか?扱う商品を増やしてみませんか?目的は顧客の獲得、増収、増益、顧客層の拡大等、目的によって扱う商品も違ってくるでしょう。
保険代理店として今は規模拡大中で予定通り順調に増収している経営者の方はとりあえず保険だけに集中されてもいいでしょう。 しかし、計画通りに増収、増益できない。何年も実績さえ維持できないという代理店の方は一考の価値はあるのではないでしょうか。 または、一気に業容拡大させたいという積極経営の方は日頃から考えている方も多いでしょう。
すでに保険代理店で扱い商品を増やしている例はたくさんあります。住宅ローンや投資信託等は多くの代理店で扱っています。
ワンストップ金融総合ショップというコンセプトで保険、金融商品、不動産等をまとめて扱っている代理店も増えてきています。
身近では私が以前勤務していた来店型保険ショップが終活関連商品を並べ、 終活相談兼保険販売のためのブース及び個室を備えた本格的なコーヒーショップを始めて話題となりました。
面白いところでは私が事務局を務める結心会ではスマホの修理を行い修理中に保険を勧めるという新しい提案をしています。 スマホ修理をする年齢層は20代が多いので顧客獲得だけでなく若者層を取り込む戦略です。
ずらずらと間口を広げた保険代理店の例を列挙してきましたが、当初の計画通りに成功している代理店は少ないみたいです。
それぞれの商品を扱えるように資格をとり、面倒な手続きをとり体制までは整えたが、その後の取り組み対する計画、人材、資金不足があるように見えます。
それだけ成功させるのが難しいということでしょう。
損保代理店が生保商品で収益を上げるのさえ難しいのが現状です。 この場合経験者や徹底的なFP教育をした生保専門の募集人を雇う時間とコストを惜しまない覚悟が必要なのかもしれません。
以上の様になかなか成功した保険代理店がいない現状が逆に成功した時の成果が大きいというビジネスチャンスではないでしょうか。
私の一つの提案は今回の保険業法改正における意向把握が保険に限らず行わなければならないことをきっかけにして 「お客様の意向を100%満たす保険代理店」を経営理念として掲げ、従業員と顧客に対して今後目指す目標として唱え続けながら販売商品を増やしていくことです。
単なる精神論と言われるかもしれませんが、経営者が本気でお客様満足度100%を目指す姿勢を示せば結束力が高まり、 徐々に成果を上げていくのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
ただし、パフォーマンスではすぐ見破られます。トップが本気で思い、取り組む覚悟が必要です。

(11)コミュニティの提供を検討してみませんか?

ママサークルに無料でお役立ち情報を提供できないかと考え、ママサークルの活動が定期的に行われている近くの公民館に相談したら、 公民館は公の施設なので活動中取次ぐこともできないし、個別の情報提供に公民館を使うこともできないと言われました。
当然のことで、サークルの中に知人がいなければ接触は難しいでしょう。
福岡市ではママサークル活動は各地域の公民館で行われているみたいです。
大阪のある代理店の方は空いているときの会議室をママサークルに提供しています。
貸している代理店はそんなつもりはないとは言っても定期的に無償で借りているママサークルの会員は会議室を借りている代理店に保険を切り替えようか、 知人を紹介しようかという気持ちになるのが人情です。
また、この場合はこの代理店は単に場所を提供しているのではなく、ママサークル活動というコミュニティを提供しているのです。 まさにCSR活動です。企業イメージのアップにつながります。
来店型保険ショップをメインとする全国的団体の結心会は東京都世田谷区と面白い取り組みをしています。
世田谷区は7月から9月末までの3カ月間、熱中症予防のために区役所や商店街に「お休み処」を設置している。 この「お休み処」の設置を世田谷区内に事務所のある保険会社や代理店、保険ショップ等に呼びかけているのです。
こういったコミュニティの提供はCSR活動のひとつとして周りから評価されます。
代理店の事務所等で常に使用されていないスぺースがあったらコミニュティの提供を考えてみませんか。

(12)住宅ローンをツールにして保険を獲得する

2016年4月19日に結心会九州報告会が福岡市で開催されました。
それ以前に「第29回結心会定例会」が2016年2月24日、25日東京で開催されました。テーマはズバリ『激動の2016年を乗り切る決定打とは?』でした。
保険ショップで取り組むアイテムを過去取り組んだものを含めて検討してみよう。例えば、日銀のマイナス金利政策の今だから住宅ローンに取り組んでみませんか? という主旨で今回の九州報告会は、東京で開催した内容を福岡でも一部を紹介するというもので、結心会が提携を具体的に検討していただける法人や団体が プレゼンテーション行いました。
まず、通称住宅ローン借り換えセンターの(株)JMPパートナーズ代表取締役及び住宅ローン診断士協会代表理事でもある望月保秀氏の講演が行われました。
面倒な住宅ローンの借り換えを支援、代行し、かつ、毎月のローンの支払いを減らすことで保険の見直しを行い、保険を獲得するという手法の紹介やフランチャイズ等の 提携を提案するものでした。
高いスキルを必要とする住宅ローン借り換えを売りとしたのは保険の見込み客に強いインパクトと与えるのではないかと考えられます。
次に(株)Nexusの高松代表取締役による工務店や住宅メーカー等の住宅業界との提携のプレゼンテーションでした。
FPと住宅業界との提携はよく見られるビジネスモデルですが、「住まいるFP」という全国規模のブランドと練られた研修によって 提携相手と継続的で良好な関係を続けながら保険を獲得する手法を提供するというものでした。
両者とも非常に興味深い内容でした。
ご興味のある方は私にお問い合わせください。
また、住宅ローンを使った保険獲得について私とのコラボを検討したいという方もお気軽にご連絡下さい。

(13)金融機関の一員として高齢者を虐待から守りましょう

高齢化が進む中で代理店の皆さんの契約者も高齢の方が増えてきたのではないでしょうか。
高齢者虐待防止法というのをご存じでしょうか?
この法律では「高齢者虐待」とは、擁護者や養介護施設従業者等による高齢者虐待とされています。 それらに該当する行為として@身体的虐待?介護・世話の放棄・放任B心理的虐待C性的虐待D経済的虐待、とされています。
また、同法の第7条では「擁護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、 速やかに、これを市町村に通報しなければならない。」と、書かれています。
市町村とは具体的には市町村の高齢者支援部署か地域包括センターです。通報を受けた関係部署はその後情報収集や訪問調査を行い事実確認し、 協議をお行い、その他の関係部署と連携し、場合によっては警察などに協力を要請しながら対応します。
そんな大事になるなら通報を躊躇するという方もおられるかもしれませんが、通報者を特定するような情報を漏らしてはいけないという規定があります。
金融機関の方は特に高齢者の経済的虐待を発見しやすい立場にあります。保険代理店の方の場合は契約者である高齢者の方の保険料が口座から落ちなくなり、 失効しそうである。長年の付き合いであるが、今までそんなことはなかった。どうしたのだろうと訪問して事情を聴いたら息子からお金を搾取されていた等の事例が考えられます。
こんな時は勇気を持って通報すべきです。それが保険代理店としての社会的貢献です。
代理店団体等で市町村と提携し、高齢者虐待通報推進活動を行えば、CSR運動として協力代理店のイメージアップ、ひいては売上アップにもつながるのではないでしょうか。
私が九州事務局を務めている代理店の全国規模団体・結心会は東京都世田谷区と提携して児童虐待に関する情報提供をする保険代理店のネットワークの構築を推進しています。
地域社会に愛される保険代理店を目指す活動をすることは代理店経営の観点からも非常に重要なことだと思います。

(14)生命保険は相続税対策よりは争続対策をアピールしましょう
違った切り口で見込み客をサプライズさせましょう!

相続時の生命保険のセールスポイントとして死亡保険金の内、法定相続人の数×500万円が非課税となることばかり取り上げられがちですが、 これは相続税を支払う場合のメリットです。実際相続税を支払うのは相続税の改定で4%から5%か6%に増えるだろうと言われていますが、 せいぜいその程度です。残りの95%前後の人は関係ない話です。
全ての人に対するセールスポイントは相続税対策ではなく争続対策です。
最高裁は生命保険の死亡保険金は相続財産ではなく、死亡保険金受取人の固有の財産であり、 相続人や遺留分権利者からの特別受益の持ち戻しや遺留分減殺請求を原則的に認めないという結論を出しました。
死亡保険金は契約による権利であり、相続財産とは違って民法に縛られることはないということです。
遺言は相続人全員の合意によって翻りますが、死亡保険金はそんなことはなく、被保険者である被相続人の意思を忠実に実行できる有効な手段なのです。
例えば、よくあるケースですが、財産はマイホームしかない。相続人は3人いて平等に遺産を残したいが、 高額な保険料は払えない場合はマイホームを担保にリバースモーゲージを利用して、その融資よるお金で3人に対する死亡保険金額が同額の生命保険契約を結べばいいのです。
また、3人の内の1人に多めに遺産を残したい場合でもその割合は契約者の自由に決められ、死後確実に実行されます。
以上の様な今まで聞いたことのない生命保険の特性をセールスポイントにすれば、見込み客は虚をつかれて身を乗り出してくるかもしれません。

(15)改正保険業法施行日を迎えて

本日5月29日に改正保険業法が施行されました。
保険代理店の方は対応に苦慮されてきたとご推察致します。
施行され、一番気になるのは金融庁の求める態勢整備の完成度、取締の本気度等の意向だと思います。
意向を知るにはその行動を観察するべきです。
まずは入検状況です。
施行前にも保険代理店への金融庁の入検はありました。ただそれは改正保険業法への各代理店の対応状況の確認という色合が濃く、指導検査ではなかったでしょうか。
施行後、どこに入検するのか? 生保か損保か? 保険会社か保険代理店か?大型来店型保険ショップかそうでないか? 専業代理店か兼業代理店か?  摘発検査か指導検査か?
金融庁の動きによってその意向が徐々に明らかになってくるでしょう。
しばらくはその動きに注目しましょう。

(16)第31回結心会定例会に参加して得た情報

7月13日と14日の2日間にわたり一般社団法人保険健全化推進機構結心会の定例会に参加してきました。
今回参加して驚かされたのは意外にもセミナー事業で大成功している代理店の方がいたことです。
私もセミナーの集客には苦労しています。 集客さえなかなかうまくいかない中で集客から個人相談に持っていき保険契約成約までの成約率の高さを維持して大きな収益を上げている代理店の方の講演を拝聴しました。
結心会の提案したビジネスモデルを実践している代理店ですが、もちろんそんな代理店は稀です。
しかし、他のそのビジネスモデルを実践している代理店の方々もそこそこの成果は上げておられます。
セミナービジネスで成果を上げるにはまずセミナーの集客力を高めなければなりません。それにはいい場所で、広告もして、 セミナーの内容も人も魅力的でなければなりません。それには多くのコストと時間が必要です。それらすべてがうまくいき、維持させることは非常に難しいことです。 なかなかその成功例を見ない中でその話が聴けて大変勉強になりました。
また、週刊ダイアモンドの保険特集を執筆されている藤田氏の講演があり、面白い話が聴けました。 金融庁は熱血漢の森長官の下で7月に課長以下の保険担当者が総入れ替えとなった新体制での動きや手数料開示等について聴くことができました。
結心会の定例会では夜の交流会も含めて保険関係者にとって毎回興味深い情報を仕入れることができます。
定例会は3ヵ月に1回東京で開催され、参加費は宿泊代も含めて1万円+消費税で参加できます。
結心会会員以外の方も参加可能です。
ご興味のある方は私にご連絡ください。

(17)メーカーの代理店市場参入について

山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行を傘下に置く山口ファイナンシャルグループは2016年6月30日付で住友生命保険と共同出資で、 個人の将来設計に合った保険や投資信託などの金融商品を提案する「ワイエムライフプランニング」を設立しました。
保険に関しては山口ファイナンシャルグループと住友生命と合弁で保険代理店会社を設立し、10月から営業開始を目指すとのことです。
「(9)気になる保険業界の動き」では今回の件に先んじて住友生命がほけん百花を購入したことや日本生命の保険代理店M&Aの動きを紹介しました。
生保業界におけるメーカーの保険代理店市場への参入という言い方もできると思います。
それでは損保業界ではどうなのでしょう。
損保業界では会社ではなく契約を買い取るというやり方が一般的です。昔は法人より個人経営の代理店が多く、契約は1年更改が基本形であったためか、 店主が死亡や何らかの理由で保険代理店を辞めると後継代理店に保険会社が契約を移管する手続きをするのです。
前述した生保業界の代理店のように組織がブランド力と集客力がある法人ではないこともM&Aの対象にならないのかもしれません。
新聞を賑わすような派手な買収はありませんが、静かにメーカーの代理店市場参入は進んでいます。
大手の損保会社はそれぞれ100%出資の全国規模の大手代理店を持っています。 それらの代理店が契約、場合によっては募集人を吸収しているのです。
メーカーが代理店市場に参入する目的は生保と損保では違っているようです。
国内大手生保会社は今のところ職員が販売する複雑な商品しか持っていません。しかし、子会社に代理店用の簡易な商品開発させる動きはあります。
また、M&Aの対象になっている代理店は大型乗合代理店で数十社の商品を扱っており、そのことがセールスポイントになっています。
今更親会社の商品中心に販売すること無理です。それで今のところ自社商品の販売推進よりも利益確保が目的と考えられます。
一方損保大型子会社代理店は損保に関しては親会社の商品しか扱っておらず、自社商品の拡販も大きな目的と考えられます。
今後国内は少子高齢化が進み、人口も減少し、国内の保険市場は縮小していきます。国内の生損保会社は生き残りかけて海外の保険会社を買収したりしています。 代理店市場への参入もその一環なのでしょうか。
また、異業者からの保険代理店市場への参入も進んでいます。
こんな厳しい環境の中で保険代理店も負けじと他業種市場への参入を考えていくべきではないでしょうか。

(18)保険のリーズ販売について

改正保険業法も試行され今後リーズや紹介、共同募集、電話募集等についても規制が強まる動きがあります。
特にリーズについては禁止されるのではないかということまで囁かれています。
大手のリーズ販売会社ではそれを見越してリーズからセミナーや共同募集という形態に転換している会社もあります。
今後ますます保険代理店に対する規制が強まる傾向です。もう単独では対応しきれないと考えている代理店の方々も多いのではないでしょうか。
生き残りをかけて他の代理店との提携ということも検討の価値があるのではないでしょうか。
まずは親しい専業代理店の方に相談されてはいかがでしょうか。

(19)週刊エコノミスト森金融庁長官のインタビュー記事について
フィデューシャリー・デューティーとは?

週刊エコノミストの7月26日号に金融庁の森長官のインタビュー記事が掲載されていました。
「高い手数料は何の対価か説明責任を果たすべきだ」というタイトルになっていました。この手数料というのは保険だけでなく投資信託等の投資に対する手数も指しています。
手数料が単に高いと言っているのではなく、いかなるサービスの対価なのか説明責任を果たしてほしい、ということが森長官の意向とのことです。
フィデューシャリー・デューティーの意識を持ってほしいとのことです。
フィデューシャリー・デューティーとは「受託者責任等と訳されるが、専門的な能力を持つ人が依頼者の利益を第一に考え、果たすべき役割や責任という幅広い概念を指す。」と解説されていました。
「金融庁はこの概念を14事務年度の金融モニタリング基本方針で初めて取り入れ、金融機関に意識改革を迫った。」とも記載されていました。
金融庁が銀行に手数料開示を求めているのはこの考え方によるものだと思います。今は地銀が抵抗していますが、何も銀行だけの問題だけでなく、 今後この考え方だと保険代理店全体に手数料開示が求められる可能性が大きいでしょう。
フィデューシャリー・デューティーという言葉は今後手数料開示問題だけでなく、あらゆる場面に使われる頻度が多くなると思われますので保険関係者は覚えておくべきです。
社会的風潮は今のところ保険商品の手数料は高いというイメージがあるのではないでしょうか。
それに対して保険業界は黙っているのではなく、金融庁の言う説明責任を果たす準備をすべきではないでしょうか。
現場の募集人の方々の中には「手数料が高い」なんて、とんでもない!自分らは契約を獲得するのに集客、説明、アフターケアにどれだけ苦労しているか、知ってほしいという方も多いのではないでしょうか。
保険手数料とは他の業界でいう粗利益率(売上高総利益率)に該当すると考えますが、サービス業全般の中小企業は30%前後という中小企業庁の統計があります。 それと比べてどうなのか。
また、一緒に問題とされている投資信託等の手数料と比較してサービス内容も含めて高いのか等を検証し、 現場の意見等も集約して保険業界として理論武装すべきではないでしょうか。
言われっぱなしではなく、反撃に転じる時期を迎えているのではないでしょうか。

(20)生保販売に必要な周辺知識とは?

生保販売に必要な周辺知識とはどんな項目なのでしょうか。
そんな知識を身に付けたくて生保募集人の方はFPの資格を取得されると思います。
ただ、資格を取得したことだけでなんとなく周辺知識を得たつもりになっていると普段頻繁に使わない保険知識以外の知識は時が経つにつれは失われ、 実際の生保販売の役に立たなくなります。
そこで、生保販売に必要な周辺知識はきちんと体系的に整理し、その分野については常に研鑽を積む様にしなければなりません。
会社としてその様な作業をしておけば短期間で新入社員を戦力化する独自の研修を行うことができます。
会社にとって大きな財産となるでしょう。
それでは一般的に保険販売に必要な周辺知識について考えてみましょう。
整理しやすいように商品種類別に見ていきましょう。
まずは死亡保険です。
補償額を決めるに際しては必要補償額を算出しなければなりません。
そのためには年金制度、教育費や住宅費用等のイベント費用、平均余命等の知識と情報が必要です。必要補償額は各保険会社のソフトでも算出できるでしょうが、 結果だけ分かっても内容の説明や疑問に答えらなければ、お客様はその必要補償額に疑いを持ちます。
必要補償額を示せても内容については分かりません、では一挙に信頼を失います。
この内容の中では特に年金制度が面倒です。それだけに型通りの説明した上に、さらに「ねんきん定期便」の見方やそれらのデータによる将来の年金の算出方法、 厚生労働省が発表している年金給付額の減額見通し等の補足説明を加えると顧客の心にサプライズが生じ、一挙に信頼を得ることができます。
年金制度では公的年金だけでなく企業年金や国民年金基金などの知識も必要です。
項目によって必要な知識の度合いが違うので保険販売用独自の体系化が必要なのです。
次は医療保険について考えてみましょう。
一番関係があるのは医療保険制度です。その中でも高額療養費制度、高度先進医療、傷病手当金等給付内容が重要です。 他に同じ給付内容として労災や障害年金も知っておくべきです。
平成27年1月から高額療養費制度の所得区分が3区分から5区分に改正されましたが、そういった内容を織り込むことによって顧客の信頼を得ることができます。
年金保険では当然公的年金制度の知識が必要ですが、将来的な支給見込みの情報等も必要です。
介護保険では公的介護保険制度や介護に必要な費用等の知識が必要です。
保険周辺知識に加えて必要なことは顧客より必要な情報や意向を聞きとり、キャシュフロー表等を作成して総合的に必要補償額を出すスキルです。
以上の様な知識とスキルの習得を個人に任せると時間がかかり、やり方も各自でバラバラになります。また、会社の理念や経営方針にも反する可能性もあります。
やはり、当初述べたように体系的に整理され、尚且つ、お客様をサプライズさせ信頼を得るマニュアルやスクリプトの作成が必要となってくるでしょう。 また、作成後の制度の改正やより完成度の高いものにするための見直しも必要です。
ご要望がありましたら私がそのような作業を支援または請け負いますのでお気軽にご相談ください。

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(21)改めて団体開拓に取り組んでみませんか?

個人情報保護が叫ばれて久しく、今では団体に接触、参入することはますます難しくなっています。
私は福岡市の育児サークルを開拓しようと考え、近所の数か所の公民館を訪問したことがあります。
福岡市の育児サークルは行政指導の下で各公民館を活動場所として週に1度や2週に1度の間隔で活動しています。
その場所や日時はホームページに公開されています。
それで公民館に無料セミナー等開催できないか打診するため訪問したのです。
案の定、どの公民館でもきっちり断られました。
公民館は公の場所なので外部の私的営業に関する一切の侵入はできません。
そのことは知っていましたが、中にはうっかりサークル会員と挨拶くらい許してくれないかと考え、「だめもと」で訪問しましたが、無理でした。
UR等の他の団体にも飛び込みで参入しようと訪問しましたが、無理でした。
改めて団体に参入し、営業活動する困難さを実感しました。
そんな中で子育てママ対象にセミナーで集客し、年間1億円以上稼いでいる保険代理店がいます。 その代理店は広告費等のそれなりのコストと労力をかけて子育てママ団体を自ら支援し、開拓しています。
ただいったん参入したら前記しました様に外からはほとんど参入できませんので、言い方は悪いですが、入れ食い状態です。 
コストや労力はかかるかもしれませんが、団体開拓は大きな収益を上げる可能性があります。
代理店の方はご自身がある団体に所属されていませんか?それこそ奥さんがママサークルに所属していたり、釣りが趣味なので釣りサークルに所属されていたりしませんか?
または、既契約者の方がある団体に所属されていませんか? 契約更改時に趣味の話等をして、さぐってみてもいいと思います。
もちろん今までも団体開拓は考えられたことはあるでしょう。しかし、私は最近になって今まで考えていた以上に団体開拓は難しいが 成功したら見返りが大きいのではないかと思えてきました。
皆さんもこういう時代だからこそ、改めて、少しの人脈でもあれば、今まで以上のお金と力を注いでその団体の開拓、深耕に力を注がれてみてはいかがでしょうか。
芋づる式に広がれば飛躍的な収益アップにつながるかもしれません。

(22)損保代理店の方へ、生保見直しセミナーを既契約者の方々向に開催しませんか?

前回(21)でセミナーによる集客で成果を上げている例に触れましたが、セミナーは広告費等の集客と会場にコストがかかり、いざやっても集客に失敗したり、 成約率が0というリスクがあり、二の足を踏んでいる損保代理店の方も多いと思われます。
それなら、試験的に既契約者の方々にセミナー開催のメールを送信し、会場は事務所の会議室等で開催してみてはいかがでしょうか。
セミナーの内容は生保担当の方を中心に練り、セミナー開催後に反省点等を修正します。そうすれば少なくともセミナー内容が洗練され、 セミナー講師のスキルアップにつながります。
既契約者にはすべて生保の見直しを完了しているという損保代理店の方はこの企画は無用でしょう、しかし、そんな代理店の募集人の方は少ないと推測します。 損保の案内や手続きで精一杯、生保は苦手という方々が多いのではないでしょうか。
この企画のもう一つのメリットは生保の得意の方とそうでない方の分業ができ、効率的に生保募集ができるという点です。
この企画はほとんどコストが不要です。成果が上がり、自信がでてきたら、今度はコストをかけて外部で集客すればいいのです。
早速、トライしてみませんか。

(23)東洋経済 生保・損保特集について

毎年10月になると東洋経済から生保・損保特集が発売されます。私は毎年買って読んでいます。
今年、2016年版の中で今までなかった新たな記事の内容のタイトルは「大手生保攻勢、異業者参入  生保代理店チャンネルの変」という生保代理店市場への参入の大きな動きです。
保険会社の海外進出や改正保険業法に関する記事は今まで何回か採り上げられていますが、 代理店市場への参入の記事がこんな大きなタイトルで書かれたのは今年が初めてではないでしょうか。それ程代理店市場への目立つ参入があったことを示しています。
この記事では、まず、昨年5月の日本生命による保険ショップ中堅のライフサロンの子会社化、ニトリとNTTドコモとの提携に触れている。
現状70店程度のライフサロンを10年後にはFCを含めて300店舗に拡大するとしている。
また、日本生命は訪問販売型大手乗合代理店のライフプラザパートナーズも買収した。
住友生命は保険ショップの保険百花とメディケアの生命のコラボによる拡販に成功した。また、 山口ファイナンシャルグループと組んで2016年度中に保険代理店業務などで合併事業を開始する。
朝日生命はテレマ市場に進出した。
保険ショップトップのほけんの窓口は銀行とのアライアンス事業に注力する。
提携先13行に、6月に静岡銀行、7月に広島銀行、8月に山陰合同銀行が加わった。
以上の様な記事内容です。
生保業界の動きと思われるかもしれませんが、当然生保代理店の損保商品拡販によって損保業界にも影響していきます。
この様な代理店市場に内部統制のスキルの高いメーカーや銀行、大手上場企業が参入すると今年施行された改正保険業法と相まって保険代理店の全体のレベルは 上がっていくのではないでしょうか。これはいいことだと思います。
ただ、改正保険業法に沿った改革の努力をしていない代理店はますますこの業界に居づらくなっていきます。
この淘汰の波を乗り切った代理店が新たなチャンスを掴むのではないでしょうか。

(24)地域のリスクコンサルタントになりませんか?
損保代理店の社会貢献の一つの提案

「ハザードマップと一緒に読む本」という本が日本損害保険協会のホームページで公表され、無料で入手できるのをご存じですか?
2011年に公表され、公表後は日本代協の会員を中心に活用され、地域住民とのリスクコミュニケーションに有用なツールであるといった報告も得られています。
蛇足ですが、日本損害保険協会のホームページでは各社の商品内容等も掲載されており、よく聞かれるロードアシスタンスサービスの各社比較内容説明などにも活用でき、 業界の動向などの情報も満載ですので活用されることをお勧めします。
話を戻しますが、ハザードマップとは、ある自然災害に対して危険な地域や地区を地図上に示したもので、過去の災害を踏まえ、 どのような地形・地質・土地条件が危険なのかを判定して危険度を示した地図や、その地図に防災上の施設、避難場所などを示したものです。
ハザードマップには、浸水想定区地図や洪水ハザードマップ、内水はん濫ハザードマップ、揺れやすさマップ、土砂危険度マップなどのたくさんのものが発行されています。 そして法律に基づいて作成されているものもあれば、そうでないものもあります。
ただし、全てのハザードマップが画一的な作業手順を有しているわけではありません。
従って、地域ごとに掲載内容や見方が異なるといった煩わしさがあり、一般の方々が読み解くのは容易ではありません。
そこで、皆さんが「ハザードマップと一緒に読む本」を使って「ハザードマップとは何か」から作成手順、読み方、避難場所、 リスクの回避・軽減・転嫁・受容といったリスクマネジメントの考え方まで解説していただけたら地域住民の方々は非常に喜ばれると思います。
その後、地震保険や火災保険等のリスクに備える保険商品の内容を説明してもらえたら、 抵抗なく次の更新や新規に貴社で保険に加入したいという方も出てくるのではないでないでしょうか。
最近では熊本地震が発生し、自然災害に対する関心はますます高まっています。
保険事務所のある地域で住民の方々と協力しながら上記のような活動をされれば、地域のリスクコンサルタントとして信頼され、 社会貢献とともに代理店経営にも非常にいい環境が築けるのではないでしょうか。

(25)住宅金融支援機構の熊本地震に対する対応

12月7日住宅金融支援機構の意見交換会に参加してきました。
そこで説明を受けたのですが、熊本地震に限らないと思うのですが、被害を受けた多くの方は古い家に住んでいる年金生活をしているお年寄りということです。
こんな方々こそ地震保険が必要だと考えますが、保険会社によっては古い家は引受規制が厳しく引受られない場合もあります。
可能ならば新旧物件の引受けのバランスをとりながらこのような方々に地震保険を勧めるのも社会貢献の一つではないかと考えます。
住宅金融支援機構では熊本現地で多くの被災者向け災害融資相談会を開催しています。
返済中の被災者に関しては返済の据置、利率の引き下げ、返済期間の延長を行っています。
また、被災者への融資も行っており、満60歳以上の方には、利息のみの返済で、元金は亡くなられた後家や土地を処分後相続人が返済する 「高齢者向け返済特例制度」等もあります。
契約者の中に被災者がおられる保険代理店の方は住宅金融支援機構と協力しながら支援するのもいい方法ではないでしょうか。

(26)確定拠出年金を使った営業手法について

2017年1月に確定拠出年金(DC)に関連する改正法が施行され、マスコミでも多く取り上げられています。
この旬に乗ろうと各地でDCに関するセミナーが開催されています。
保険代理店の方々にもDCを使って保険の拡販を目指そうという主旨のセミナーの勧誘があるのではないでしょうか。
セミナーを受けてDCに加入するメリット等を学び、実際お客様に説明し、「分かった。加入しよう」と、言われたときにどうされますか?
この点が肝心なのです。スムーズに案内できずに、おたおたしているとかえって信頼を失い、新規開拓どころではなくなります。
DCの現在加入者はその対象者の1%にも至っていません。その一番の理由はDCの普及を担っている銀行、証券会社 、保険会社等の金融機関が儲からないので宣伝普及活動にきわめて消極的だからです。
私は保険会社を辞めた後にDCを個人型に切り替えて継続しようと思い、ある都銀の支店を訪問しました。 そうしましたら支店では全く対応できずに支店の行員が本店の業務部門に問い合わせ、手続き書類を送付してもらうので後日、再度訪問してくれ、と言われました。
後日、再訪すると手続き書類を渡され、後は何の説明もされずにほったらかされ、書類を書き終えて渡すという状況でした。
書類の中には定期預金や投資信託等の商品の持ち分割合を記入するものもありました。私の場合はFPとして知識があったので記入できましたが、 一般の方がいきなり運用資産の按分割合を決めろと言われても投資信託がどういうものか理解さえできていない状態では無理というものです。
DCは金融庁ではなく厚生労働省管轄であり、保険や証券の募集とは根本的に制度が異なっています。
そもそも募集ではなく、単なる取次という考え方なのです。
個人型DCついては保険募集のように重要事項の説明義務などはないのです。その点も問題だと思われます。とは言っても現況は上記のようなものです。
DCを利用して営業活動を行うというなら、いざ、お客様がDCに加入したいと言われたときに加入までの手続きを案内できるように準備しておく必要があります。
その方法は扱っている保険会社や親しい銀行等に相談してもいいでしょう。また、DC取次業務を証券会社などが委託する制度もありますので、 そういう制度を利用するのもいいでしょう。
さらに言うならば、企業型DCの場合には社員に対する投資研修、継続研修、個別相談までできる体制をつくっておけばその企業との親密度はさらに深まります。
以上の様な点を相談したい保険代理店の方は遠慮なく私にご連絡ください。

(27)就業不能に備える保険の販売促進を検討してみませんか?

最近、渡辺直美の強烈な個性と放映頻度の高さでアフラックの給与サポート保険のCMは多くの人の印象に残っているのではないでしょうか。
このCMで画像の強烈さとともに給与サポート保険というネーミングと渡辺直美の「医療保険では住宅ローンの支払いやこの子の教育費には備えられない」 という主旨のセリフも心に残りませんでしたか?
保険のCMで我々は「医療保険」という言葉とその補償内容については聞き飽きていましたが、給与サポート保険という言葉と補償内容は初耳であり、 どんな保険だろうと、興味が惹かれた方も多いのではないでしょうか。
このCMはこの商品の認知度だけでなく、就業不能に保険で備えられるのだ、ということの認知度を広めてくれました。
この機会に就業不能に備える保険を扱える保険募集人の方はもうすでに取り組んでおられるかもしれませんが、販売推進を行うチャンスだと思います。
本来、保険とは発生確率は低いが、発生したら大きな損害になるリスクために備えるというのが基本的な考え方です。 その考え方からすると医療保険より就業不能に備える保険の加入を優先すべきなのです。
医療保険の場合は一般的に保険金の支払いは最大でも100万円前後です。 就業不能に備える保険では植物人間になって就業不能になった場合には補償額は数千万円にもなることがあります。
医療保険は代わりに貯蓄で備えることも可能です。
上記のような理屈は正論であり、消費者に納得してもらえると考えます。
また、新鮮で目新しい保険という印象が消費者の興味を惹くのではないでしょうか。
今加入している医療保険を解約して就業不能に備える保険に切り替えることを勧めることは間違っていません。
既加入の医療保険と保険料もあまり変わらないかもしれません。
ただし、販売推進をするに際しては準備が必要です。
就業不能となった場合の公的補償はその状態によって異なるため死亡時のそれより複雑です。
また、勤務する会社によって追加の補償などが違います。
見込み客に対してはその点の聞きとりを行い、公的保障も合わせて丁寧に説明すべきです。
ただ単にいい保険です、とごり押ししてはかえって信頼を失います。
あくまで消費者ファーストのスタンスを堅持すべきです。
そうすることが結果的には売り上げを伸ばすことになるのではないでしょうか。

(28)自動車保険の将来の不安に備えて損保代理店がやるべき事

2015年10月、安倍首相が「2020年には、東京で自動運転車が走り回っている」と宣言しました。
自動運転タクシー等を2020年開催の東京オリンピックまでには広く普及させる、という趣旨の様です。
技術立国日本の国民としては誇らしい限りです。
しかし、自動車保険にとっては大きな不安材料です。
損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、2018年1月から自動ブレーキの搭載車の保険料を9%安くすると発表した。 自動ブレーキの普及で事故の確率が低下していることから料率を引き下げるのです。
自動運転技術の進歩によって事故率はどんどん下がっていき、それに比例して自動車保険の保険料もどんどん引き下げられる可能性があります。
そんな中で代理店手数料はどれだけ確保できるのでしょうか。
完全自動運転が実現される時代が来れば今までの所有者個人の自動車保険は不要になり、メーカーや運行管理会社の賠償責任保険に置き換わるかもしれません。
そうなると代理店を通さず保険会社の直扱いになる可能性があります。
自動運転技術の進歩速度は思った以上に早いかもしれません。
昭和30年代まで損保の主力商品は火災保険でした。
昭和40年代に入ってモータリゼーションの波はすさまじい勢いで広がり、あっという間に自動車保険が主役に躍り出ました。
今、損保商品の中で自動車保険に代わりえる商品があるでしょうか?
答えは、ありません。損保ではなく、生保商品ではないでしょうか。
今の段階で現実的に、コストパフォーマンスを考えれば、収益面で自動車保険の減を補える可能性があるのは生保商品しかありません。
平成8年生損保併売が可能になって以来、損保代理店の損保既契約者からの生保獲得率はせいぜい5%程度と一向に上昇していません。
その間に世の中のニーズに合った来店型保険ショップは多くの生保契約だけでなく損保商品をも獲得し急成長しました。
今こそ損保代理店が本気で生保契約獲得の態勢を整える時期ではないでしょうか。
片手間に生保も獲得しようということではなく、専門の生保開拓部隊を設置するとか、生保代理店と提携し共同募集する等、 はっきりと生保獲得を目標とした態勢づくりが必要です。
その態勢ができていたら自動車保険市場が厳しくなったら生保市場へ重点をシフトさせることで保険代理店として生き残っていけるのではないでしょうか。

(29)顧客本位の業務運営とは?

平成平成29年3月30日に金融庁より「顧客本位の業務運営に関する原則」の確定版が発表されました。
本原則の対象は「金融事業者」という用語を特に定義していなく、幅広く採択されることを期待する、とありますので保険代理店や保険募集人も当然含まれます。
昨年5月29日施行された改正保険業法と違って保険業界だけでなく、銀行、証券業界関連事業者を含んだ幅広い事業者を対象としています。 しかし、重なる部分は多くあります。
「意向把握義務」と「顧客の最善の利益の追求」、「情報提供義務」と「重要な情報の分かりやすい提供」は同じ目的だと思います。
「顧客本位」というのも改正保険業法の趣旨と同じだと考えます。
同じ金融庁から生まれたものですから当然かもしれません。
「顧客本位の業務運営に関する原則」の採用するアプローチは「ルールベース・アプローチ」ではなく、「プリンシプルベース・アプローチ」を採用しており、 本原則を外形的に遵守することに腐心するのではなく、その趣旨・精神を自ら咀嚼した上で、 それを実践していくためにはどのような行動をとるべきかを適切に判断していくことが求められる、とあり、 これは改正保険業法の態勢整備のためのPDCAサイクルと同じアプローチです。
今回の「顧客本位の業務運営に関する原則」の確定版の発表は対象が金融事業者全体であり、ひいては消費者全体、国民であるため、 保険関連業者にとっては改正保険業法の態勢整備推進の大きなプレッシャーになります。本気で取り組まないと時代の流れに取り残され、 この業界から追い出されることにもなりかねません。
まずは前述したアプローチの中にあるように本原則の趣旨・精神を自ら咀嚼しなければなりません。 それには本原則が掲載されている金融庁のホームページの「お知らせ・広報」を参照してください。 そこには本原則とともに「本原則の定着に向けた取り組み」や森金融庁長官の講演記録等の参考になるものが掲載されています。 それらを読み込んで自分で考え、周りの同僚や同業者と意見交換しながら自分の考えを固め、その考えを方針として策定し、公表し、実行し、定期的に見直す、 という行動が必要です。
今年の2月には失効率の高い顧客本位から大きく離れた募集を行っていた代理店に摘発検査と思われる抜き打ち検査が行われたとも聞いています。
パフォーマンスで逃げ切れる時代は終わったと考えるべきです。

(30)損保代理店の方は既契約者に対して生保の見直しをされていますか?

1996年の金融ビッグバーンで損保が子会社を通して生保が募集できるようになったときに損保子会社の共通した戦略は 当時主力商品だった定期付終身保険を保険料が安く合理的な保険金額の収入保障保険に切り替えるというものでした。
損保代理店の方々は既契約者に対してその戦略を実行されましたか?苦手意識もあり、本気で取り組んだ方は少ないのではないでしょうか。
定期付終身保険の保有契約高は2003年から2012年にかけて約510兆円から約190兆円に激減しています。
この期間は来店型保険ショップが大きく伸びた期間です。それには定期付終身保険や総合保障型商品の見直し切り替え販売が大きく貢献しています。
既契約者の生保商品もこの方法で来店型保険ショップに持っていかれていませんか?
せっかく簡単に生保獲得できる環境にありながら他の代理店に獲られていませんか?
自動車保険の新規獲得に比べればはるかに楽に稼げるチャンスを逃していませんか?
自動運転の進歩で自動車保険の将来が不安になってきています。だからこそ既契約者の生保見直しによる保険販売に本気で取り組むべきではないでしょうか。 それで成果があればその後の生保拡販につながる可能性が大きくなります。

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(31)今後の金融行政について

2017年4月7日の日本証券アナリスト協会における講演で森金融庁長官は次のように述べています。
「高い運用力を持つ金融機関、顧客本位が組織に根付いた金融機関 が発展し、顧客本位を口で言うだけで具体的な行動につなげられない金融機関が淘汰されていく 市場メカニズムが有効に働くような環境を作っていくことが、我々の責務であり、 そのため行政として最大限の努力をしていくつもりです。」
今後の金融行政の方向性はこの言葉に集約されていると思います。
もっと要約すれば、「顧客本位の業務運営をしない金融機関は淘汰される金融行政を今後行う」ということです。
保険業界では2016年5月29日に改正保険業法が施行され、そろそろ見せしめのため摘発検査が行われ、行政処分が行われるのではないか、 と思われたか業界人の方も多いのではないでしょうか。しかし、そういうことはなく、行われる検査はモニタリング検査ばかりで、 100店入検し、金融庁のホームページでそれぞれの代理店の手本となる取り組み例が紹介され、その中で優秀な5店は金融庁に呼ばれ、 意見等を聞かれる厚遇ぶりです。
まさしく「顧客本位の業務運営に関する原則」に謳われているミニマム・スタンダードからベスト・プラクティスへの方向転換です。
これからは保険代理店として何もしなくても今までみたいに周りから何も言われないかもしれません。
周りからはプレッシャーを受けずに楽になったと思われる保険代理店の方もおられるかもしれません。 それをいいことに何も変化しようとしない代理店は周りから知らず知らずのうちに取り残され、顧客が離れていき、淘汰される時代を迎えようとしているのではないでしょうか。
今後、自発的、積極的に行動する意識を社員にも持ち続けさせる緊張感を維持する態勢を求められる代理店経営はますます難しいものになるのではないでしょうか。
単独では難しいので志を同じくするグループをつくり、お互いに監視し合う体制づくりが必要です。
ご連絡いただければご相談に乗ります。

(32)商店から企業への意識改革

東京海上日動は研修生制度を50年ぶりに廃止しました。代わりに代理店に入社した社員を研修・教育する制度を導入しました。他の大手損保にも同じような動きがあります。
この改革は私にとって感慨深いものです。
私は30年間大手損保会社に所属していましたが、営業社員にとって常に研修生の採用、育成が評価の中心でした。また、 会社にとっても営業戦略の中心でした。その制度が廃止されたのです。激変と言っても過言ではありません。
2016年5月改正保険業法が施行され、保険代理店の検査は所属の保険会社を通して行われてきたものが直接行われるようになりました。
これからは保険代理店を一人前の企業として扱うという金融庁の意思表示です。
私が入社したころは研修で保険代理店は独立した商店と教えられました。
しかし、今は中身がどうであれ世間からは企業と扱われ、商店主でなく、経営者として扱われます。それについていけない代理店は淘汰されるでしょう。
この間に世代交代した保険代理店はまだ少ないのではないでしょうか。そうなると経営者の意識改革が必要ということになってきます。
今更何を言っている、という代理店の方々も多いかとは思います。
しかし、改めて考えてみるとこの意識改革というのは大変な努力がなければ成し遂げられないはずです。
謙虚な気持ちになって俯瞰で自分の保険代理店を企業として見つめ直すことが必要だと思います。

(33)金融レポートから生保業界勢力図変化の可能性からの損保業界への影響

大手乗合代理店に対する生保上乗せ報酬自粛の動きが生命保険業界に出てきました。 ある基準の以上の販売量を達成したら通常の手数料に加えてキャンペーン手数料やボーナス手数料が加えられるという制度です。
以前から批判がありましたが、10月25日に金融庁が公表した金融レポートが決定打になったと思います。
金融レポートには「顧客対応の質に関係ない量で手数料が決められている」、「上乗せ手数料を合わせると初年度手数料を大きく超える水準を支払っている」、 「金融庁としてはこの件について対話を行っていく」と、かなり具体的に指摘しています。
保険会社としては知らぬ顔をできなくなっての自粛の動きだと考えられます。
実際に自粛となると影響を受ける大手乗合代理店は全国展開する大手来店型保険ショップ等です。
経営が厳しくなり、高い賃料を払っている店舗では採算が合わなくなり撤退するケースも増えてくるでしょう。
一方で大手生命保険会社は来店型保険ショップを買収し、さらにはそれら保険ショップに供給する商品を開発するグループ会社まで設立しています。
生保最大手の日本生命も2019年春には保険ショップ向け割安商品の新会社の設立、営業開始を目指しています。
この動きは来店型保険ショップを増やすでしょう。
来店型保険ショップの増減は自動車保険等の損害保険には関係ないと思っておられる方も多いでしょうが、 このコーナーの「(6)ほけんの窓口グループ窪田会長兼社長の講演を聴いて」に記載しているように大いに関係あります。
損保代理店の扱う損保商品や既契約者の生保保険が大量に来店型保険ショプに流れているのです。
また、手数料に関しては国会で取り上げられ、その複雑な手数料体系の把握に金融庁が乗り出しています。
今後、生保と同じような視点で見直される可能性があります。
以上の様に保険業界の動きはダイナミックに相互に影響し合っています。
保険事業に携わっている方々はますます業界情勢を見ながら最小の努力で最大の効果を挙げる事業運営を求められるでしょう。
業界情勢など関係ない、一生懸命にやるだけだ、という保険事業者の方は淘汰される時代を向かえています。

(34)2017年度損害保険代理店統計を見て危惧すること

日本損害保険協会から『2017年度損害保険代理店統計について』が公表されました。
代理店実在数は186,733店で前値度から9、310店、4.7%減です。それに対して募集従業員数は2,072,888人で8,623人、0.4%増です。
募集従業員は増えているのに代理店数は減っています。これは代理店新設がしにくくなっているとも考えられます。
特に個人での新設が難しくなっているのではないでしょうか。
改正保険業法では保険代理店の態勢整備が重要視され、その態勢整備状況や売り上げで手数料率が決められる中で個人が一人で起業し、 それだけで生計を立てるのが難しくなり、保険会社もその潮流に乗って長年専業専属代理店新設を担ってきた研修生制度はその目的を代理店新設ではなく、 大型代理店の後継者や従業員の育成に変えています。
裸一貫で野心を抱いて大型保険代理店の店主を目指せる時代は終わったのかもしれません。
規則を守り、そつのないサラリーマン的な募集人ばかりが集まる業界になったのかもしれません。 保険代理店が大型化し、新卒の若者の入社希望者が増えるのは悪いことではありません。ただ、募集人のタイプが偏るのはどうなのでしょうか。
野心を抱いて、がむしゃらに働き、夢を叶える型破りな人材がいなくなるのはさびしい気がします。
新しい時代に昭和を懐かしむ、単なる郷愁なのでしょうか?

(35)リスクマネジメントを切り口としたコンサルタント営業

保険はリスクマネジメントの一環です。特に損害保険はその意味合いが強いのではないでしょうか。しかし、 損害保険代理店の募集人の方々はそのことをどれだけ意識しておられるでしょうか?または顧客にどれだけ意識させようとしておられるのでしょうか? 募集の際にどれだけリスクマネジメントについて話されているのでしょうか?
当ホームページの個別相談等情報発信コーナーの「第75章 家庭のリスクマネジメント」をご参照ください。 個人契約の募集の際にこのような個人や家庭のリスクマネジメントの話をしてその中の保険の意義を感じてもらえば保険加入の可能性は高まるのではないでしょうか。
契約者はいつも保険商品の内容ばかりの説明をされて飽き飽きしているときに今まで聞いたことない説得力のある話を聞き、 サプライズの気持ちが湧くと相手を信頼します。
中小企業の経営者に対してはリスクマネジメントのやり方について話せるようになっておきたいものです。 リスクマネジメントに関する本を1冊じっくりと熟読すれば可能だと思います。実際にリスクマネジメントをするとなれば、 その企業自身がそのリスクを知っているはずです。あとはリスクの抽出方法や管理方法などをコンサルタントできればいいわけです。 できれば紹介できるリスクマネジメントの専門家を持っておく方がいいでしょう。
リスクマネジメントについて話すことで保険のプロフェッショナルとして印象を付け、顧客の信頼性を大きく高めることができます。 それが増収へとつながるのではないでしょうか。

(36)やっと攻勢に転じる時が来た!
「顧客本位の業務運営に関する原則」に対する考え方

平成29年3月30日に「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されてから9ヶ月が経ち、この原則を採択し取り組む金融事業者が増えてきました。
金融庁は最新では平成30年11月7日にこの原則を採択し、取組方針・KPI(成果指標)を公表した金融事業者のリストを公表しました。 金融庁は今後もベストプラクティスも含めて積極的に公表していくとしています。 顧客本位の業務運営の取組、成果状況を「見える化」し、それらを見た顧客に金融事業者を選択させ、淘汰させる方針なのです。
この数十年間コンプライアンス遵守に始まり、改正保険業法に真摯に向かい合い、 多大な労力とコストに苦しめられながら真剣に改革に取り組んできた保険代理店の方々はこの機をチャンスとポジティブにとらえるべきです。
コンプライアンスや改正保険業法の遵守は必要だが、それらに割かれるエネルギーが大きくて営業に注ぐエネルギーが大きく割かれ、 妨げになると考えていた方も多いのではないでしょうか。そういう面も否めないと思います。しかし、 「顧客本位の業務運営に関する原則」はそういったものとは画すべきです。
この原則はコンプライアンスのように違法ではない、ということだけではなく、その先のビジネスの進展と金融の高度化を求めているからです。
この原則を実行することで今まで取り組んできた改革が花開き、顧客を増やすことができる、国もバックアップしてくれている、と考える方が得策です。
今まで耐え忍んで改革に取り組んできた保険代理店はやっとこれから攻勢に出るチャンスが到来したという 前向きな姿勢で進んだ方が明るい将来が待っているのではないでしょうか。

(37)損保会社はどう生き残る?それでは損保代理店はどう生き残る?

1月30日のNHKニュースでSONPOホールヂィングスの社長が「損保会社 どう生き残る?」というインタビューに対して、
「キーワードは「テーマパークをつくる」ことです。 “テーマパーク戦略”とはどんなものか。本業の損害保険だけでなく、 健康、安全など、異なる“アトラクション”を次々と導入し、顧客を飽きさせないさまざまなサービスを展開していくことを意味します。 「安心・安全・健康という抽象的なものを『これが安心・安全というものだ』と転換できる機能を損保は持って、できれば“SOMPOランド”としてテーマパークをつくりたい」 と櫻田社長。「ディズニーランドは『これでおしまい、新しいアトラクションはつくらない』ということはない。われわれのSOMPOランドも、 お客さんが見て必要なものはどんどんつくっていきたい」と答えています。柱の一つとして強化しているのが、 介護事業で、4年前の本格参入から企業買収によって規模の拡大を図り、今では売り上げが業界2位にまで成長しているとのことです。
『昔は保険会社だったらしいね』という状態が、僕にとっては理想郷」とまで語りました。
いわゆる事業の多角化です。
また、海外M&AによってSONPOホールデ ィングスでは3割前後の利益は海外で得られています。この傾向は他のメガ損保でも同じです。
代理店を介しての保険販売の収益のシェアはどんどん低くなっています。ということは損保会社での保険代理店の立場も弱くなってきているということです。
保険代理店に対する保険会社の風当たりが強くなっているのはこのことも一因かもしれません。
それでは、保険代理店はどうしたらいいのでしょうか?
一つは保険会社と同じように事業の多角化です。保険以外に同じ金融の証券や住宅ローンの販売、金融以外の格安携帯電話などの販売を始めている代理店も増えてきています。
次に考えられるのは同業者間の結束力を強めることです。代協等に所属して横の連携を強めることです。他は保険会社以外の行政や地域の支持を得ることではないでしょうか。
それには「顧客本位の業務運営」を誠実に努力、実行することだと思います。その成果に金融庁や顧客が評価してくれることで支持につながります。
顧客本位とは単なるお題目ではなく、自分を守る手段でもあるのではないでしょうか。

(38)損害保険代理店の方々へ
お客様の保険以外のお金の悩みや興味あることのニーズに応えて顧客満足度アップ、そして、業績アップ!

先日ある相談者に外貨建て積立保険を勧められているがどうしたらいいだろうか、という相談を受けました。
その見積には数十年後には元金に対して130%以上の数字が示されていました。相談者はそれが確定ではないことは理解していました。
私は相談者に貯蓄以外の補償も目的なのかを問いました。回答は貯蓄だけの目的とのことでした。
その外貨建て積立保険には500万円の死亡補償が付いていました。
私はその保険商品が積立目的以外の補償とその手数料のために元金の一部が使われていることを説明し、 それなら貯蓄目的のためだけに払ったお金が使われる商品の方がいいのではないですか、と質問しました。
それに対して相談者は銀行に預けていても利息はほとんど付かない、それよりはこの保険に加入した方がいいのではないかと言われた、と答えました。
その回答には嘘はないです。皆さんならその後どのようにしますか。
お客様の機嫌を損なわないようにそれ以上は反論しませんか?それとも、当社でも同じような商品を扱っていますのでご検討願いませんか、と積立保険を勧めますか?
私はさらに銀行預金と比較したらその通りでしょう、しかし、貯蓄だけを目的とし、選ぶ商品も手数料が低く、税金の優遇措置のあるNISAとiDeCoについて説明し、 あとは相談者の決断と実行に委ねました。
相談者は非常に満足気でした。
私はその後のことまでは依頼されませんでしたが、その限られた相談時間の中で相談者に迎合することなく、相談者のために精一杯対応したつもりです。 それによって相談者の最大限の満足度を得ることができたと信じています。
顧客本位の対応するためには保険以外の知識とお客様のためという気持ちが必要です。
気持ちはあるが、知識が不安だという損害保険代理店の方々はそれを補完する為に他の事業者との提携を検討してみてはいかがでしょうか。
もし、私でよかったらお気軽にご連絡の上ご相談ください。

(39)アフターコロナの保険募集についての一考察

 

明治安田生命保険は5月7日から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特別対応として非体面での新規契約手続きを始めました。 ただし、既契約世帯への医療保険など保障性商品に限ります。
他の大手生保社も後に続く動きがあります。
そもそも保険の非対面募集は行ってはいけないのでしょうか?
私の認識では保険業法等の法律で禁じられている訳ではなく、金融庁の監督指針などでも特に非対面募集そのものを禁じている訳ではありません。 禁じているなら通販の保険販売は認められません。
金融庁の保険会社に向けの総合的な監督指針では「電話・郵便・インターネット等のような非対面の方式による情報の提供及び説明を行う場合は、 上記ア.からオ.に規定する内容と同程度の情報の提供及び説明が行われる体制が整備されているか。」と書かれています。
募集行為の重要な要素である十分な情報の提供ができる体制が整備されていることが非対面募集を行う条件であると書かれています。 それに加えて契約者の意向把握ができるかが問われると思われます。
それでは職員や代理店が間に入り募集する場合でも自由に非対面募集を行えばいいのではないかとも考えられます。
しかし、それでは募集する職員や代理店の存在意義が問われるのではないでしょうか、通販より高い保険料を支払っている価値がないと思われるのではないでしょうか。
結果として顧客が通販に続々と流れることが予想されます。
恐らく以上の様なことも大きな理由として保険会社は通販以外の対面募集を義務化しているのではないでしょうか。
ただ、前述の監督指針の「インターネット等」には今回のコロナ対策で多く使われているオンラインを通して顔をお互いに見て対話する手段も含まれていたのでしょうか? 単にメール等を想定していたのではないでのしょうか? 
新型コロナウイルス感染拡大防止対策でオンライン保険相談は急増しています。 アフターコロナの保険募集についてオンライン保険募集は可か不可かという100か0かという議論ではなく、状況に応じて可という議論を進めていいのではないかと考えます。 例えばオンラインによる対面を「対面」と認めるという議論もあるでしょう。
高齢者に対してはオンラインによる募集活動は認めない、顧客のニーズがあればオンラインによる保険販売を認める、等の様々な理論があると考えられます。
オンラインによる募集が可能になれば募集人の移動による時間やコストを減らすことができます。働き方改革につながるかもしれません。
アフターコロナには社会全体の働き方や価値観が変わると言われています。
保険業界でも様々の議論を広げ、深めて変革していくチャンスではないでしょうか。

(40)金融サービス仲介業の保険代理店や募集人に対する影響について

11月1日に金融サービス提供法が施行され、金融サービス仲介業が誕生します。 その影響について、特に保険代理店や募集人に対する影響について考えてみたいと思います。
まずは金融サービス仲介業とは何か?ということです。一言で言えば、ワンストップで金融サービスを提供できる業者です。
今までも多くの事業者が挑んできました。保険代理店+金融商品仲介業+住宅ローンフラット35の販売というのが一番多いパターンではないでしょうか。
このビジネスモデルと金融サービス仲介業とは何が違うのでしょうか?
まずは「所属制」の違いです。保険代理店は保険会社、金融商品仲介業は証券会社など、それぞれ異なった会社の監督を受けています。 しかし、金融サービス仲介業はそれがなく、多数の金融機関の商品やサービスを扱いやすくなります。その代わり1,000万円以上の保証金を供託する必要があります。 「所属制」がなくなる分顧客への説明義務などの責任が重くなり、賠償責任を負う可能性も高まるからです。
また、そのため複雑な説明が必要な変額、外貨建て保険などは金融サービス仲介業の扱う商品の対象外になっています。 また、保険金が1,000万円を超える生命保険なども対象外になっています。
販売手数料については従来の保険代理店や金融商品仲介業と比ベればかなり低いのではないでしょうか。
以上のことを考えると金融サービス仲介業の担い手は薄利多売できるフィンテック企業等ではないでしょうか。
大手の保険代理店が間口を広げるために金融サービス仲介業者となる可能性はありますが、 保険に関しては従来通りの体制で証券業務と銀行業務を金融サービス仲介業という二重資格という販売方法になるでしょう。 その場合はコンサルタント機能を加えないと証券やローンの顧客を保険に結び付けるのは難しいでしょう。 ただ、コンサルタント機能をプラスすると顧客にとってコストが増える可能性があります。
今後金融サービス仲介業は新規参入者も多いと考えられ、どのようなビジネスモデルになるか余白の部分が大きいです。 金融庁もあえて余白を大きくした意図も感じられます。
保険代理店や募集人は今後も変化する金融サービス仲介業の動向を注視しつつ、シェアを奪われないように専門性を高め、 コンサルタント力を高める努力をしなければなりません。それと同時に金融サービス仲介業への参入や金融サービス仲介業との提携・協力も考えていくべきでしょう。 

(41) 保険募集人の方々へ、保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正について

保険会社向けの総合的な監督指針等の一部改正(案)が2021年12月28日に発表され、適用されることになりました。
改正案では特定保険募集人等の教育について「公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑みて、 公的保険制度に関する適切な理解を確保するための十分な教育を行っているか。」としており、また、 顧客の意向把握・確認方法については「自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、 自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ…契約するよう図っているか。そのために、 公的年金の受取試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど、」とあります。
これらの改正案に対してパブリックコメントでは「これ保険会社向けの監督指針に入れる必要があるでしょうか? そもそも国の制度を国民に伝えるのは政府や所轄官庁の仕事じゃないですか?」という意見もありました。
これに対して金融庁の考え方は政府においては年金ポータルの開設やパンフレット作製など公的保険に関する広報活動は最大限努力している。 顧客のことを考えれば公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑みると公的保険制度に関する情報提供は重要であるという主旨の回答をしています。
政府は責任を民間になすりつけて、ずるい!という意見は一理あると考えます。しかし、それは対政府に対して言えますが、対顧客に対して言えるでしょうか? 上記の回答はこの点を押さえた上手な回答です。なかなか反論はできないでしょう。
公的保険制度を説明しない方が必要補償額を大きく見せることができて大きな契約に結び付くと期待する募集人はいないでしょうか? このような考え方は高度成長期やバブル期に蔓延した利益至上主義という時代遅れの考え方で、今では顧客本位と標榜している金融業界で非難されます。 また、社会貢献やSDGsが叫ばれる世間の流れに逆行するものです。
保険募集人としてはきちんと顧客に対して公的保険制度の情報提供の準備をすべきです。
大手生保会社や大手来店型ショップはこの改正案を受けて対顧客用の公的保険制度のマニュアルを作成し社員教育を実施して販売現場での情報提供を行うように指導し、 差別化を図ってくるでしょう。それに対してそんな動きがあってもあまり影響はないだろうと高をくくるのはやめましょう。
じわじわと影響が出てきて知らないうちに自分の顧客が獲られる可能性があります。 そんなことのないように積極的に公共保険制度の社員教育行い顧客に対して情報提供をしましょう。その姿勢が顧客を増やします。 顧客が増えるのと減るのとでは将来向けて大きな差となります。
時代の流れを注視し、感じて、積極的にその変化に対応することが重要です。

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